ヨッシーの日記

いろいろかきます

【解説】電通大口頭試問での力学の問題について

以前の記事
yoshi12030.hatenablog.com
で紹介した力学の問題の解答例を作りましたので、自分への戒めとして公開しようと思います。

問題

上で紹介した記事にも問題は書いてありますが、もう一度載せておきます。

壁に固定されたばね定数kのばねとそれに繋がれた質量mの板で質量Mの球を発射する。
(1)ばねを自然長からx_{0}だけ縮めたときの弾性エネルギーを答えよ。
(2)手を話してばねが自然長からxの位置で速度がvになったとする。そのときの系全体のエネルギーを求めよ。
(3)球と板が離れた時の自然長からの位置を答えよ。
(4)そのときの速度v_{0}を求めよ。
f:id:yoshi12030:20180623164619p:plain

ポイントとなるのは「球と板が離れるというのは物理的にどういう状態であるか」という事です。そこに注意すれば全く問題ありません。

解答

(1)弾性力による位置エネルギーの公式から

U = \displaystyle\frac{1}{2}kx_0^2

(2)板と球の運動エネルギーも考慮すると

E = \displaystyle\frac{1}{2}kx^2+\frac{1}{2}(m+M)v^2
f:id:yoshi12030:20180623171658p:plain

(3)板と球に働く力のベクトルを作図します。
f:id:yoshi12030:20180623172948p:plain
作図のポイントは
①力の始点を明確にする
②バネによる弾性力kxが働くのは板のみ
③板と球はお互いに垂直抗力Nを及ぼし合う(作用反作用の法則)
です。
作図が出来たら次に2つの物体に関する運動方程式を立てます。

板:\displaystyle m\frac{dv}{dt}=kx-N

球:\displaystyle M\frac{dv}{dt}=N

ここから加速度である\displaystyle\frac{dv}{dt}を削除して整理すると

\displaystyle \left(\frac{m}{M}+1\right)N=kx

球と板がはなれるとき N=0 となるから

x=0

すなわち、バネが自然長のときに球と板は離れます。

(4)エネルギー保存則より

\displaystyle\frac{1}{2}kx_0^2 = \frac{1}{2}(m+M)v_0^2

ゆえに

\displaystyle v_0=x_0\sqrt{\frac{k}{m+M}}