ヨッシーの日記

いろいろかきます

【大学編入】受験勉強記 物理編

今回は先日書いた「編入勉強記 数学編」に引き続き物理編ということで、僕が実際にやってきた物理の受験勉強や参考書の話をしていきます。

物理の勉強について

編入の物理

編入試験で出題される物理でよく出題される分野は「力学」「電磁気」「熱力学」「波動」などで、大学によっては解析力学が出たり現代物理が出たり様々です。基本的には志望校をしっかり確定させてから、過去問などに目を通して傾向を掴んで演習書などをやるのがベストだと思います。(それまでは比較的どこの大学でも出る数学の勉強をしよう)

電通大の物理試験

電通大志望の方も読まれていると思いますので、ここで電通大の物理の試験範囲を確認したいと思います。物理の試験範囲は「力学」、「電磁気学」、「熱物理学」、「波動と光」、「現代物理学」です*1。これだけ見てもどんな試験なのか全然分からないので過去問を確認して、勉強の方針をある程度立てると良いでしょう。電通大の物理はH23年を最後に「波動と光」、「現代物理学」は全く出ていません。僕の受験勉強ではこの2科目を捨てて他の3科目を完璧にする方向で勉強をしました。

ですが、平成31年度の試験では波動も出題されたそうです。現代物理学に関しても今後出題される可能性もあるのでとにかく全部の科目に対して対策をしておいた方が良いと思います。詳しくは後に公開される過去問を参照しましょう。(追記)

傾向

力学

ここ最近までは質点の力学の少し難易度の高い問題が出ていた傾向だったのですが、ここ数年は剛体の力学からとても初歩的な問題が出ている印象があります。だからといって、次の試験も剛体から出題される保証は無いので力学に関しては質点から剛体まで勉強しておきましょう。

電磁気学

電磁気学はハッキリ言ってほとんど傾向はないです。ですが、ここ最近は一般的な教科書や演習書などに載っている基本的な問題からの出題されている印象があります。ですので電磁気学に関しては、基本的な問題について幅広く勉強しておけば爆死をすることは無いと思います。

熱力学

熱力学は基本的に「熱力学第一法則」から「エントロピー」までを勉強すれば大丈夫です。熱力学を勉強する上で注意するべき所は「熱力学で用いる物理量(熱量、内部エネルギー、比熱など)や法則(特に第二法則が示すことなど)はしっかりと頭の中で理解しておくべきです。熱力学の計算自体はただの積分計算なので簡単なのですが、意味もしっかり理解しておくと捻った問題にも対応できるようになります。(H30年度の試験では比熱の定義について理解しているかが問われた)

編入物理の参考書

大学生の〇〇シリーズ

「弱点克服 大学生の〇〇」という参考書は色々あるのですが、その中の「大学生の初等力学」と「大学生の電磁気学」はとてもオススメです。
今までの編入物理の勉強では、サイエンス社の「基礎物理学演習Ⅰ Ⅱ」「演習力学」「電磁気学演習」という所謂「黄色い本」をやる人がほとんどだったと思います。ですが、黄色い本は大学編入を想定した問題集ではないので大学編入では問われないような問題も載っていたり、解説や解答が雑で分かりにくかったりと、色々と難点がある問題集です。
大学生の初等力学と電磁気学は、編入予備校で講師をされていた先生が書かれているという事もあって、編入の過去問や院試の過去問が沢山扱われています。また、解説が丁寧なのでとても分かりやすいです。中には通常の大学入試で扱われるような基本的な問題も載っているので、レベル的にもバランスが取れていてとても良いと思います。
しかし、この2つの問題集は誤植がとても沢山あり、一部解けなくなっている問題もあるので注意が必要です。僕は誤植を見抜くのも勉強と割り切っていましたし、慣れればそこまでネックにはなりません。

弱点克服 大学生の初等力学

弱点克服 大学生の初等力学

弱点克服 大学生の電磁気学

弱点克服 大学生の電磁気学

よくわかる初等力学

これもとてもオススメな本です。この本は琉球大学の前野先生(ネットでは"いろもの物理学者"の名で有名です)が書かれた本で、力学を勉強するときに重要な物理的意味やイメージを大事にしつつ、読者が「本当によくわかる」という状態になるまで懇切丁寧に説明されている本です。
この本は4年の夏休みから読み始めたのですが、これまで僕が考えていた力学の考え方の根底がひっくり返されましたし、「今まで力学をナメてたな」と思わされた一冊です。
すごく分厚い本なので読むのは大変ですが、特に力学をあまりやって来なかった情報科、電気科の方は力学があまり身についていない方が多いと思うのでオススメです。

よくわかる初等力学

よくわかる初等力学

スバラシク実力がつくと評判の熱力学キャンパス・ゼミ

マセマの本です。熱力学を独学する方にはとてもオススメですし、電通大の対策でしたらこの1冊と過去問で十分です。編入試験で使える熱力学の参考書はとても少なく「電通大の熱力学を勉強するならマセマ一択」と断言出来るくらいです。実際この教科書は細かい部分まで扱っていますし、編入対策で取り組む分では十分だと思います。僕は色んな問題を解きたかったのでこの本の演習版も買いました。

スバラシク実力がつくと評判の演習熱力学キャンパス・ゼミ

スバラシク実力がつくと評判の演習熱力学キャンパス・ゼミ

スバラシク実力がつくと評判の電磁気学キャンパス・ゼミ

授業で習わなかったことの補強用に使いました。説明が丁寧なので独学に使えると思いますが、この本だけでは不十分ですし、そもそも電通大などの編入電磁気でベクトル解析が問われるのは稀です。(問われた例では、平成31年の茨木大学の編入試験でマクスウェルの方程式が出たらしい)

基礎物理学演習

ⅠとⅡがありますが、Ⅰは力学、波動、熱力学の範囲でⅡは電磁気、現代物理の範囲が掲載されています。基本的に編入生のほとんどはⅠをやっているイメージがあるのでやっておいて損は無いと思いますが、前述した通りあまりオススメではありません。Ⅱを使う人はあまり多くなく、同じサイエンス社の「電磁気学演習」という本を代わりにやる方が多いかと思います。実際、Ⅱよりも電磁気学演習の方が問題のレベルが高いので旧帝大レベルの大学を狙うのであれば此方の問題集で勉強する方が良いと思います。

基礎物理学演習 (1) ((ライブラリ工学基礎物理学 (別巻=1)))

基礎物理学演習 (1) ((ライブラリ工学基礎物理学 (別巻=1)))

基礎物理学演習 (2)

基礎物理学演習 (2)

ついでに「電磁気学演習」も紹介しておきます。
電磁気学演習 (理工基礎 物理学演習ライブラリ)

電磁気学演習 (理工基礎 物理学演習ライブラリ)

演習力学

黄色い本の中で唯一オススメ出来る本です。この本は力学の問題がとても豊富なので、他の問題集で扱われないような問題もあります。基本的に物理は沢山の問題に触れておく事が重要だと思うので、この問題集はオススメです。また、解説も丁寧にされているので、取り組みやすいと思います。僕は剛体の演習を多めにしておきたかったので、この本は剛体の問題を中心に勉強しました。また、この本には解析力学の問題も少し載っているので初歩的な解析力学の演習をするのも良いかもしれません。

演習力学 ((セミナーライブラリ物理学 (2)))

演習力学 ((セミナーライブラリ物理学 (2)))

最後に

物理を勉強するのは数学を勉強する時とは違った側面で大変な事だと思います。実際に物理の問題を解くときに、問題が示している物理現象を完全に理解して問題を取り組む為にはある程度の基礎知識や理解の土台をきっちり立てる必要があります。ですので、物理を勉強するとき(特に独学をするときには)いきなり問題集から始めるのではなく、教科書系の本で一般的な問題について考えて理解を深めていくことが重要だと思います。

*1:平成31年編入学試験の試験範囲であるので注意