今回は線形変換の基底を変換したときに、表現行列がどのように変化するかについて書いていこうと思います。(線形写像についての議論の方が一般的なのですが、今回は線形変換*1に止めます)
今回の内容は先日書いた
yoshi12030.hatenablog.com
で紹介した基底の変換行列の知識と
yoshi12030.hatenablog.com
で紹介した線形写像の一般の基底に関する表現行列の知識を前提とします。
線形変換の表現行列と基底の変換行列に関する定理
定理
を線形変換とし の基底 に関する の表現行列を とし、別の基底 に関する の表現行列を とする。また、2つの基底に関して、 から への変換行列を とするとき次が成り立つ。
説明
上で挙げた行列は対角化と同じ形ですが、(当たり前ですが) が必ず対角行列になることを言っているわけではありません。ただし、 を上手く選ぶことにより を対角行列にすることは出来ます。この定理は今まで投稿してきた線形代数の知識で導くことが出来ます。忘れてしまっていたら過去記事を参照して下さい。
証明
任意の をそれぞれ
と表せるとするとき、
というように変形できます。ここで、3行目から4行目への変形は表現行列の定義式を使い、4行目から5行目への変形は基底の変換行列の定義式の両辺に右から をかけた
一方で、別の基底に関しては
と変形でき、(1)と(2)を比較すれば
が導出できます。それでは次の問題について考えてみましょう。
練習問題を解く
問題
に対して線形変換 を で定めるとき、適当な基底の変換をして得られる基底に関する表現行列が対角行列になるような基底 とそのときの表現行列 を求めよ。