ヨッシーの日記

いろいろかきます

【就活】高専から大学に編入した人の就活体験記

お久しぶりです。この度、第一志望の企業から内々定を頂きましたので、僕が就活でやってきたことを書き残しておきたいと思います。このブログでは主に大学編入に関する情報を書いていきましたが、この記事では大学編入をした後の進路の話をします。大学編入をしていなくても、理系で就活をする方なら役に立てるような内容だと思います。最初に注意しておきますが、就職活動の方法に正解はありません。たまたま僕はこの方法で納得する結果を得られましたが、誰でも当てはまる訳では無いということを念頭に置いて記事を読んで欲しいと思います。

就活の内容

5月

大学院の入学オリエンテーションにて、マイナビの社員の方に「今から就活始めなきゃインターンに参加出来ないよ」的なニュアンスの脅しを受けたことをきっかけに、5月から就活を始めました。周りに先輩が居なかったため、情報を持っていなかったことに対する危機感のようなものがあったと思います。5月にやったことは主に、週に1回か2回あったマイナビのWEBセミナーに参加して就活に関する基本的な情報を集めることです。就活の情報を全く持っていなかった僕にとってはとても有益だったと思います。

5月の下旬はマイナビインターンのエントリー予約ができる機能を使っていくつかの会社にエントリーしました。正直、この時点ではどんな業界があるかすら全く分かっていませんでしたが、ずっと「プログラミングを仕事にしたい」という思いがあったのでIT系の会社にエントリーしました。IT系の企業と言っても様々あると思いますが、このときは名前を聞いたことがあるような会社をピックアップしてエントリーした気がします。結果としてSIerやメーカーを十社弱ほどエントリーしました。

6月

エントリーした後は会社によって様々ですが、ほとんどの場合はESを書きます。逆にESを書かない企業は抽選または先着順になりますが、行きたいインターンシップが先着順の場合は多くの企業がすぐに埋まるので早めに申し込んだほうが良いです。これに関してはインターネットでコンサートのチケットを予約するのに感覚は近い気がします。この時、僕はとある大手SIerインターンにとても行きたかったため、お金を払ってESを添削して貰えるサービスを使いながらそこのESを作ることにとても時間を掛けました。そこの企業のインターンの選考にはSPIもあったので参考書を買って勉強もしました。

結論から言うとその企業のインターンは落ちました。今考えてみると、原因はSPIの勉強不足だったと思います。この時期だと対策が不完全で当たり前のような気がしますが、世の中にはこの時期にも関わらずちゃんと対策が万全な就活ガチ勢が沢山います。大企業のインターンに申し込むということは、そういう就活生とバトルするということです。勉強に自信がある人も(無い人はなお一層)SPIの対策はちゃんとやった方が良いです。

6月にエントリーした会社は全て落ちたわけではなく、数百人規模の学生を集めて会社説明やグループワークをやる1day形式のインターン(これをインターンと呼んで良いかは賛否ありそうですが)には参加できました。このような形式のインターンは参加できる学生も多いので、エントリーすれば高確率で参加できます。よく巷で「1dayのインターンは意味ない」などと言う人がちらほらいますが、僕はそんなことはないと思っています。1dayのインターンでも参加後に優遇(参加者限定のイベントに呼ばれたり、早期選考に呼ばれたり)はありますし、実際に僕が入社することに決めた企業は夏に1dayのインターンに行った企業でした。

7月から9月

実際に上で書いた会社のインターンに落とされたのは7月に入ってからだったのですが、結果を受け取った時は相当落ち込みました。自分の中ではESに関してはとても良いものが書けた気でいたので、多少SPIの点数が悪くても書類で落とされることはないだろうと思っていました。その会社のインターンに落とされたことで就活生の中での自分の位置を突きつけられた感じがして、少し絶望していた期間がありました。

この経験があり、自分の中で「もっと色んな企業を調べないと駄目だ」と思うようになり、OfferBoxやLabBaseなどのオファーサイトを使って幅広く企業を調べるようになりました。ここでも主にSIerを中心にIT企業を探していました。オファーサイトは自分のプロフィールを入力するのが手間になってしまいますが、一度入力すれば後は連絡を待てば良いのでやってみると良いと思います。自分の書いたガクチカや自己PRが通用するものなのかどうかも確認できるので一石二鳥です。

そういうこともあって、ここからも物凄い数の企業と接点を持つようになります。マイナビやオファーサイトを使ってひたすら1dayのインターンや座談会などのイベントに参加しました。連日でインターンに参加したこともありますし、1日に複数社のインターンに参加した日もありました。とにかく予定が空いていれば可能な限りインターンを詰め込んで、色んな経験をしました。また、OfferBox経由で1週間かけてWebアプリを開発するソフト開発の企業のインターンにも参加でき、自分のレベルの低さを痛感させられました。スケジュール帳を確認したら、この時期に30社以上の企業と接点を持ってました。

多くのインターンに参加して業界研究や企業理解は勿論進みましたが、今思うとこれが自己分析にもなっていたと感じました。zoom越しでも、インターンに参加すると社員さんのや周りの学生の雰囲気などから「この会社は自分に合いそう(若しくは、合わなさそう)」と思えることが多々あり、自分はどういう会社で働きたいのか、どんな仕事をしたいのかを見つめ直すことができました。

10月から12月

ここで転機のようなものが訪れました。10月の初旬にとある大手SIer(7月に落ちた会社とは別の会社です)の1dayインターンに参加して、インターンの最後に少人数で人事の方に質問できる機会があったので、僕は人事の方に質問(質問内容は忘れましたが、御社でプログラミングできますか的なニュアンスの質問だった気がします)をしました。すると、その人事の方は「プログラミングをやりたいんだったらうちの会社は向いてないよ」と仰られました。僕はその言葉にとても驚き、そもそもSIerが自分に合わないんじゃないかと考えるようになりました。

色々と悩んだ結果、やはり自分にはSIerは合わないと考えて、ここからSIerを見るのは一旦やめてメーカーを中心に就活をするようにしました。メーカーにはプログラミングを使って実際にものを作る仕事がありますし、高専出身の僕にはそういうものづくりの仕事の方が合うのではないかと思いました。僕はたまたま夏に複合機メーカーのインターンに行っていたので、複合機などの精密機器メーカーを中心にセミナーなどのイベントに参加して業界・企業研究を進めました。その結果、12月の終わりまでには第一志望群の企業が固まってきました。

実は、この時期にメーカーの企業研究に並行して夏にインターンに行った2つのソフト開発の会社の選考を受けていました。結果はどちらも1次選考で落ちました。普通にメンタルにきましたが、面接を受ける中で「自分には合わない会社だ」と思えたので落ちて納得でした。ここで面接の経験ができたのは良かったです。

1月から3月

年が明け、インターンセミナーなどに参加した企業から少しずつ早期選考の案内が来ました。この時点では第一志望は決まっていなく2つの会社で迷っていたのですが、そのうちの1つの会社から早期選考の案内が来ました。ESやSPIはなんとか通過し(SPIは苦い思い出があったので結構勉強しました)実質最終面接である技術面接まで進みました。電通大には目黒会という同窓会があり、そこで面接練習やES添削などをやってもらえるので、目黒会の相談員さんに面接練習をしてもらいました。相談員さんにはいくつかアドバイスを頂き、自分でも喋る練習を何回もしてから面接本番に臨みました。面接本番では練習の甲斐もあって上手く話すことが出来、内々定をいただくことができました。

本当は迷っていたもう一方の企業の選考も進んでいた(次が2次面接だった)のですが、そのとき内々定をいただいた企業でとても満足することができましたし、正直メンタル的にも限界だったので次の面接は辞退させていただき、就活を終わりにすることにしました。

これから就活をする人へアドバイス

なるべく早めに動こう

就活は年々早期化しています。よく3月1日に新卒採用が解禁されると言われますが、現在多くの企業がこれ以前に選考(早期選考というやつです)をやっています。これを聞くと大半の人は「早期選考ってことは本選考があるんでしょ?それを待っても良くない?」って思うかも知れないのですが、一般的に早期選考の方が本選考よりも有利だと言われています。企業側からしたら、早くから就活をして自分の会社の事をよく知ってくれている学生に来て欲しいですよね。したがって、早くから就活を始めてインターンなどに参加するのをオススメします。

また、早く始めていた方が考える時間が沢山取れます。僕はM1の5月から就活を始めたので色んなことに時間を取れましたが、恐らく2月や3月から就活を始めていたら僕のように見る業界を変えて一から調べ直す時間は無いと思います。

オファーサイトを活用しよう

僕が使ったオファーサイトはLabBase、OfferBox、キミスカ、dodaキャンパス、ビズリーチ・キャンパス、TECH OFFERです。特にオススメの2つを紹介します。

LabBase

理系学生専用のオファーサイトで、登録している企業も理系学生を採用したいと思っています。LabBaseのお陰でとある会社の限定セミナーに参加出来たり、インターンの選考が免除になったりしました。また、LabBaseにはLabBaseNowというWebイベントがあるのですが、企業の方がzoomで座談会をして下さるイベントや合同説明会のように色んな企業が参加するイベントもあり、視野を広げるのにとても役に立ちます。

compass.labbase.jp

OfferBox

理系専用ではないですが、登録している企業が多いので結構オファーが来る感覚があります。また、企業側から出せるオファー数に上限があり、来るオファー1つ1つに本気さが伝わってきました。そうでない企業もありますが、やっておいて損はないとは思います。

offerbox.jp

インターンに参加できなくても諦めない

インターンに参加すると早期選考に繋がることがありますが、インターンに参加できなくても特定のイベントに参加することで早期選考に呼ばれることがあります。実際に僕も2つの企業(しかも大企業)でそのような案内がありました。なので、特に志望度が高い企業に関しては、こまめにセミナーなどのイベントに参加することをオススメします。

また、もしインターンに行けずに早期選考に参加できなくても、ちゃんと早くからインターンの選考に向けて準備をしておけば本選考でも上手く立ち回ることが出来ると思います。そういうこともあって、なるべく早く就活を始めたほうが良いです。

研究を休めるなら休む

早期選考を進めていると2月辺りで面接やらESやらでキツくなってくると思います。そういう時は研究室の先生と相談して休みましょう。この時期は就活の方が重要だと思います。こういう時にちゃんと相談できるように日頃から研究室の先生との関係性は良くしておいたほうが良いと思います。

最後に

最後まで読んでいただきありがとうございました。もし何か聞きたいことがあればこの記事のコメントでも良いですし、twitter(@differentiatedd)のDMに下さい。皆さんの就活が上手く行くことを願っています。

電通大の研究室配属について

お久しぶりです。今回は電通大の研究室配属についての記事を書いていきたいと思います。題名には「電通大の」とでかでかと書きましたけど、実際にこの記事で書くのはⅡ類の研究室配属についてです。他の類も大まかには変わらないと思いますので、参考程度にはなるかと思います。また、配属のシステムは年度によって若干変わる可能性もあるので、その辺は承知の上で参考にして下さい。

研究室配属とは

電気通信大学では、4年次に卒業研究と輪講という科目を修得することが卒業条件なのですが、それをどこの研究室で行うかを決めるのが研究室配属です。電通大のⅡ類には計5つの教育プログラムがあります。それは
P1:セキュリティ情報学
P2:情報通信工学
P3:電子情報学
P4:計測・制御システム
P5:先端ロボティクス
の5つで、基本的には同じプログラムの教員の研究室へ配属されるのですが、他のプログラムの研究室に配属の希望を出すことも一応可能です*1。ただし、P2とP3の間やP4とP5の間の配属は自由に行き来することが出来ます。実際にこのプログラム間を行き来する配属はよくあります。また、P1の人がP2やP5のプログラムの研究室に配属される例も若干名います。もし、あなたが電通大の1年生かプログラム未配属の2年生なのであれば、その辺も考えながらプログラムを選択すると良いと思います。

研究室配属の流れ

配属のスケジュール

今年度のⅡ類の研究室配属のスケジュールは大まかには以下の通りです。

11月初旬:配属希望面談開始(全員)
11月中旬:他プログラム配属の希望研究室登録
11月下旬:他プログラム配属の仮配属結果発表
11月下旬:自プログラム配属の第一次希望研究室登録
12月中旬:自プログラム配属の第一次仮配属結果発表
12月中旬:自プログラム配属の第二次希望研究室登録
12月下旬:自プログラム配属の第二次仮配属結果発表
1月初旬:自プログラム配属の第三次希望研究室登録
1月下旬:自プログラム配属の第三次仮配属結果発表

配属希望面談

配属希望面談では、自分が入りたいと思っている研究室の先生何人かにメールでアポを取って面談をします。大抵の研究室では、この面談をすることが配属の前提条件だったりするので、これは必ず行います。また、研究室配属は第一希望が通るとは限らないので、第二希望や第三希望の先生とも面談をしておいたほうが良いと思います。P2やP3の先生の多くはこの面談で配属するかどうかを決めているそうなので、頑張りましょう。これを見ている人の多くは「研究室配属なんて成績で決まるんだろう」と思っているかも知れませんが、実際は学生の成績を配属をするかどうかの要素に使っている先生はあまり多くないように思われます*2。とある知り合いの先生は「成績は本当にどっちを取るか迷ったときにしか使わない」と仰っていました。

希望研究室登録

面談が終わったら研究室の希望登録をWeb上で行います。Ⅱ類では配属専用のページで希望登録をするのですが、このページではどの人がどの研究室に配属希望を出しているかが丸見えの状態になっていて、自分が希望を出した研究室があまりにも人気であれば途中で希望を変更することも可能です。また、指定された日時までに配属希望を出さなければ、どこの研究室にも配属されなくなってしまうので注意しましょう。

仮配属結果発表

先生が配属する学生を入力すると、その研究室に仮配属されたかどうかを知ることが出来ます。この仮配属結果は他の人も見ることができ、誰が受かって誰が落ちたのか知ることができてしまいます。あまり良いとは思いませんが。
配属が決まると、早い研究室だと年末の忘年会などに呼び出される研究室もあるそうで、2月から研究室に来るように言われる研究室もあるそうです。

自分の研究室配属

僕は一応、第一希望の研究室に仮配属することができました。しかし、編入生の中でも第一希望が通らなかった人が何人もいるそうなので、編入生だからといって優遇されるようなことはないと思います。

さいごに

色々言いましたが、

  • 早いうちから研究室を決めておけ
  • 研究室見学に行け

と言っておきます。研究室配属は自分から行動を起こさないとどうしようもないです。周りを見て行動するのはやめましょう。

*1:ただし他プログラム配属の枠は通常の枠よりも少ないです

*2:これはP2とP3の例であって、P4やP5は成績で決める先生も結構いるそうです

【LaTeX】カルノー図の描き方

最近実験レポートでカルノー図を描く機会があったときに、少し手間取ったので自分への備忘録として残しておきます。
実際、TeXのパッケージを使ってカルノー図を書くのは少し手間なのですが、比較的綺麗に描けますし、慣れれば速いので結構オススメできる方法です。(慣れるほどカルノー図を描かされるような機会はないでしょうが…)
また、この方法ではTeXの本文に100行近いテンプレートを差し込むようなことはしませんので、手軽にカルノー図を描くことができます。

準備

まず「askmaps」というスタイルファイル(ZIPファイルになってます)を下のリンクからダウンロードして、インストールします。パッケージのインストール方法は色んなサイトに解説が載ってるので各自の環境に合わせて行って下さい。また、TeXLiveでは標準でインストールされているそうです。


ctan.org

使い方

プリアンブル

まずプリアンブルに

\usepackage{askmaps}
\usepackage{color}

を挿入します。一応説明しておくと、askmapsは先程のカルノー図を描くためのパッケージで、colorは色の付いた線でカルノー図の囲みを描きたい場合は追加します。

2変数のカルノー

以下のようなコードで2変数のカルノー図を描くことができます。

\begin{figure}[htbp]
  \centering
  \askmapii{\(a\)}{{\(D_0\)}{\(D_1\)}}{}{1110}%
   {%
    \color{red}\put(0.5,1.0){\oval(0.8,1.8)}
    \color{blue}\put(1,1.5){\oval(1.8,0.8)}
   }
  \caption{\(a\)のカルノー図}
  \label{}
\end{figure}


これで下の図のようなカルノー図が描けます。

f:id:yoshi12030:20191120223047p:plain

ではそれぞれどのようにして描いているのかを説明します。

まず、上で示したサンプルはTeXで図を貼るときのサンプルによく似ていて、丁度「\includegraphics」の部分を「\askmapii」で置き換えたようなものになっています。「\askmapii」は2変数のカルノー図を描くコマンドで、5つの引数を持ちます。


1つ目の引数は論理関数の出力変数の名前を定義します。図の例では「a」になっていますが、数式のスタイルで挿入したいのであれば引数に「\(a\)」などと入力することにより数式スタイルにすることができます。


2つ目の引数は論理関数の入力変数の名前(2変数であれば2つ)を定義します。図の例のように文字を数式のスタイルで挿入したい場合は「{\(D_0\)}{\(D_1\)}」のように中括弧で区切って指定します。


3つ目の引数はオプションで、今回は指定していません。
4つ目の引数は表の中の数字(1や0などの数字)を指定します。指定の仕方は2変数なのであれば表の枠は全部で4つあるので「1110 」のように4つの数字を入力すれば大丈夫です。引数の数字の順番は

f:id:yoshi12030:20191120224626p:plain

のように指定すればOKです。(つまり「1234」と入力すれば上の図が得られます)


5つ目の引数では楕円を使って「ループ」を表現します。「\color」コマンドでは楕円の色を指定します。どの色が指定できるのかは、colorパッケージのリファレンスを参照して下さい。

「\put」コマンドでは楕円を置く場所の中心座標を指定します。この座標はカルノー図の左下が原点になっていてカルノー図の1マスが長さ1に相当します。例えば「\put(0.5, 1.0)」とすると左下を原点とした座標で(0.5, 1.0)の場所が中心に指定されます。(これは上の図で赤い楕円の中心になっている)

「\oval」コマンドでは楕円の大きさをしています。例えば「\oval(0.8, 1.8)」とすると、X方向に長さ0.8でY方向に長さ1.8の楕円が作られます。

3変数のカルノー

3変数のカルノー図は「\askmapiii」というコマンドで描くことができます。

\begin{figure}[htbp]
  \centering
  \askmapiii{\(a\)}{{\(D_0\)}{\(D_1\)}{\(D_2\)}}{}{12345678}%
   {%
    \color{red}\put(0,1){\oval(1.8,1.8)[r]}
    \color{red}\put(4,1){\oval(1.8,1.8)[l]}
   }
  \caption{\(a\)のカルノー図}
  \label{}
\end{figure}

このサンプルで次のような図が描けます。

f:id:yoshi12030:20191120231321p:plain

「\oval」コマンドのオプションを使うことで図のような半円を描くこともできます。オプションのリストは下の表にまとめておきました。


オプション 説明
r
楕円の右半分のみを描画
l
楕円の左半分のみを描画
t
楕円の上半分のみを描画
b
楕円の下半分のみを描画

参考にしたもの

この記事を書くにあたって以下のサイトや文章を参考にさせて頂きました。

天地有情 [LaTeX] askmaps --- カルノー図を描く

askmapsの公式マニュアル(英語)

【大学編入】電通大単位認定のまとめ

お久しぶりです、今回は電通大編入恒例の『地獄の単位認定』について書いていこうと思います。今年の単位認定は、6月には認定が確定して認定作業も全て完了していたのですが、課題やらレポートやら試験やらに追われて気付いたら夏休みになっていて、この記事を書くのもこの時期になってしまいました。。
僕の認定単位数は72単位で、多分認定作業が失敗した方の部類なので同期の人よりは少なめだと思います。単位認定の方法は情報理工学域になってから変わったので、学部時代の情報を持っている方は、僕のこの記事で再確認していただければと思います。

そもそも単位認定とは

3年次編入で大学に入学するときに、前の学校(高専とか短大とか大学とか)で修得した単位を入学後の大学の単位に割り当てることができるという制度です。というか、この制度が無いと3年次編入した学生は技科大*1とかじゃない限り100%留年します。
電通大の単位認定は、他の大学の単位認定制度に比べて滅茶苦茶に厳しいです。面倒な作業を繰り返して、やっと単位がもらえます。単位認定は編入試験と同様、情報が勝利の鍵を握るので、しっかりと情報を集めるようにしてください。

電通大の単位認定

包括認定と個別認定

電通大の単位認定には包括認定と個別認定という2つの認定があります。簡単に言うと、包括認定は入学特典で何もしなくても貰える単位で、個別認定は単位認定申請書を出す面倒くさい作業が必要な単位です。包括認定の対象科目は年度によって変わる可能性があるので、ここには詳しく書かないでおきます。

認定の流れ

先程でも言いましたが、電通大の単位認定は滅茶苦茶に厳しいです。まず、高専5年の2月頃に単位認定の説明的なものが電通大から送られてくるので、まず「認定申請書(作業用)」(下図参照)を書きます。これはエクセルに書き込む用と手書き用があるのですが、絶対に手書きで書かないで ください。後で書き直すときに苦労すると思います。これに認定して欲しい電通大の科目名を書いて、高専で取った科目とその内容、時間数、単位、教科書などを書いていきます。この作業はすごく大変なのですが、ここで手を抜くと後々に響くのでしっかり書きましょう。

f:id:yoshi12030:20190806223925j:plain

上に示した書類を全て記入して大学に出したら4月まですることはなくなります。4月になると編入オリエンテーションが入学式の前日辺りに開かれるので、そこで認定申請書が返却されます。ここで自分が申請した単位に全て「可」が付けば何もすることはありませんが、恐らくこの時点で多くの科目に「否」または「保留(要面談)」と書かれて返却されるはずです。ここで周りの編入生と書類を見せ合って情報交換をすると良いと思います。単位認定は団体戦なので、周りの編入生との連携を強固にしましょう。

編入オリエンテーションの次の日から大学に来て認定作業をしましょう。実際、僕もこの時期先輩に「明日から作業を始めましょう」って言われて「え、動くの早くね?」って思ったのですが、逆にさっさと動いて授業開始日までにほとんどの科目の認定を終わらせておかないと詰むので、特に用事が無ければ次の日から大学に来て図書館の3階にある情報自習室辺りで編入生の仲間と認定作業を進めましょう。単位認定の作業は、下にフローチャートを載せましたが、書類が返されて『否』があったら書類を書き直して、メールで認定担当の先生に面談のアポを取り、面談で何故認定が出来ないのかを聞きます。その後、資料を書き直して再度面談(または教務課に提出)して書類が『可』になったらその科目の認定作業は終了です。

注意ですが、教務課の人は「認定資料を出し直す際は教務課を通せ」と説明してきます。ただ、これは 無視 して下さい。教務課を通すと、資料が手元に返ってくるのに最短で一日くらいかかってしまう(これは結構な痛手)ので、教務課を使うのはもう面談は終わって資料を出し直すだけでその都度アポを取るのが面倒なときくらいにしましょう。

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ここで認定作業と一緒にやっておくと良い作業を書いておきます。

  • メールの設定

絶対にやったほうが良いです。認定作業では先生にメールで面談のアポを取る必要があるのですが、これをプライベートのメールアドレスでやると、相手の先生によっては返信してくれないかもしれません。電通大ドメインのメールアドレスを使うということは、自分が電通大の人間である証明になるので、ぜひメールが使えるように設定しておきましょう。メールの設定方法は電通大の情報基盤センターのページに載ってあります。
www.cc.uec.ac.jp


  • 学務情報システムにログインして住所を入力

別にこの時期にやる必要はないのですが、これをしないと履修登録ができなかったはずなのでしておきましょう。ついでに学務情報システムのURLを貼っておきます。
www.uec.ac.jp


  • 前期と後期の時間割作成

単位認定が進んできたら徐々に作り始めましょう。出来れば後期の時間割も同時に作っておくと、卒業までの見通しがつくと思うので是非やって下さい。


単位認定の結果

この節では、僕が実際にどのように単位を認定したかを科目の分類ごとに書いていきます。単位認定は、時間数が足りれば高専の1科目を電通大の複数科目に割り当てたりすることや、逆に高専の複数科目を電通大の1科目に割り当てたりすることができます。また、認定には単位認定が出来る上限の単位数が決まっているため、特に専門科目はこれに注意する必要があります。が、とりあえず単位認定申請書(作業用)の段階では 認定上限数を超えて申請しても良い です。こうしておくと、最後に前期後期の時間割を組む時に、組み立てやすくなると思います。以下では表形式で認定の結果を示します。認定された科目は右に「可」と書き、認定に使った高専の科目名を書いておきます。逆に認定されなかった科目には右に「否」とだけ書きます。

言語文化科目

大学の科目名 高専の科目名 備考 認定
Academic Spoken English Ⅰ 英語Ⅳ
卒業研究
Academic Spoken English Ⅱ 英語Ⅳ
卒業研究
Academic English for the Second Year Ⅱ 理由は後述
英語演習 英語Ⅴ
中国語第一 中国語
中国語第二 中国語
電通大の英語

Academic〇〇という名前の英語は1,2年の英語なのでできるだけ全力で認定してください。何故かAcademic English for the Second Year Ⅱ(以下AESY2と書く)の今年の認定基準が「授業でスピーキング&リスニングの授業を行って、理系のテーマに関する英語のプレゼンテーションを行ったか」というものになっていて、ハードルがとても高かったので、多くの編入生が突っ返されて認定されませんでした。そもそも、高専の英語の授業でそんなアクティブなことやらないと思うんですけど、皆さんの高専はどうですかね。僕の高専では4,5年は本当にリーディングしかやらなかったので、正直に喋ったら1年生の科目である、Academic Spoken English(以下ASEと書く)すらも認定が危うかったので適当に誤魔化しました。英語に関しては本当にやってない高専もあると思うので、面談の際はどう言い訳するか考えてから臨みましょう。ちなみに、AESY2は国際学会で発表した高専生は余裕で認定されてました。
僕は「卒研の時間に自分のテーマを英語で発表する練習をした」みたいなことを言ってASE1とASE2をもぎ取りました。

第二外国語

電通大では、ドイツ語、フランス語、ロシア語、中国語、韓国語があります。高専でこれらの言語に関する授業を90分×30週分やっていれば各言語の第一および第二が認定できます。ただし、15週やって第一だけ認定ということは第二外国語ではできないので注意してください。
大学で第二外国語を履修するのは大変なので、高専で選択出来るなら優先して履修した方が良いと思います。


健康・スポーツ科学科目

大学の科目名 高専の科目名 備考 認定
健康・体力つくり実習 保健体育Ⅳ 高専4,5年で体育をやっている必要あり
健康論 高専4,5年で保健をやっている必要あり

健康論の認定は無理です。諦めましょう。


理工系教養科目

大学の科目名 高専の科目名 備考 認定
物理学概論第三 応用物理Ⅰ
応用物理Ⅲ
前期量子論をやっていればOK

前期量子論量子力学をやってたら取り敢えず認定しておきましょう。


初年次導入科目

大学の科目名 高専の科目名 備考 認定
基礎科学実験A 情報通信工学実験・実習Ⅲ
基礎科学実験B 化学Ⅰ
化学Ⅱ
情報通信工学実験・実習Ⅰ
コンピュータリテラシー 情報リテラシー
プログラミング基礎
卒業研究
基礎科学実験

AとBがあり、Aは物理実験でBは化学実験です。Aは高専でやった工学実験を書けば時間数が合えば認定してくれるそうです。Bは低学年のときに化学実験をやっていたらその科目とその旨を書きましょう。工学実験はレポートの書き方(?)などで時間数の調節として使えるらしい(この辺は定かではない)です。

コンピュータリテラシー

高専1年生などでやる情報の授業を書いておきましょう。また、コンピュータリテラシーではTeXとHTMLを授業でやるそうで、これのどちらかを授業で書いたらその授業も書きましょう、これが無いと認定出来ません。もし、そういった授業が無かったのであれば、高専5年の卒研でTeXを使って卒論を書けばそれも認定に使えるので、TeXの練習をしておくと良いと思います。


理数基礎科目

大学の科目名 高専の科目名 備考 認定
微分積分学第一 微分積分
解析学基礎
微分積分学第二 解析学基礎
解析学 解析学基礎
応用数学
数学演習
線形代数第一 線形代数
線形代数
線形代数第二 数学特論Ⅰ 基本的に認定されない
数学演習第一 微分積分
解析学基礎
線形代数
線形代数
数学演習第二 解析学基礎
線形代数
物理学概論第一 応用物理Ⅱ
応用物理Ⅲ
物理学概論第二 情報理論と符号化
電磁気学演習
化学概論第一 化学Ⅰ
化学Ⅱ
化学特論Ⅰ
化学特論Ⅱ
物理Ⅲ
応用物理Ⅰ
基礎プログラミングおよび演習 基本プログラミングⅠ
基本プログラミングⅡ
数学

基本的に「線形代数第二」以外の科目は全力で認定して下さい。稀に数学の先生に「〇〇をやってない」と言われて保留にされる人が居るのですが、ゴリ押しをして認定して下さい。大抵の高専のカリキュラムはちゃんと作られていると思うので、多少やってない項目があっても妥協はしない方が良いと思います。
線形代数第二に関しては認定の説明が書いてある資料に「線形代数第二は原則として認定をしない」と書いてあって、本当に去年までは誰も認定されなかったみたいです。ただ、僕の代は高専線形代数第二の内容(ベクトル空間、線形写像など)を授業でやっていれば認定されました。僕の他にも数人が認定されたみたいなので、ベクトル空間を授業で習った人は申請書に書いてみて下さい。逆に授業で一切やってない人は諦めて下さい。

物理

物理学概論第一と第二があります。第一は力学と波動で、第二は熱力学と電磁気学の基本をやります。物理の認定は(他の科目も同様だが)物理Ⅰなどの1~3年生でやる高校物理の科目は認定に使えなく、使えるのは応用物理Ⅰなどの4,5年でやる大学物理の内容のみなので注意して下さい。高専や学科によっては、物理で波動や熱力学をやってない所があると思いますが、例えば波動は量子力学電磁気学の電磁波などで代用出来る可能性があり、熱力学は情報理論などの科目でエントロピーをやっていると言い訳すれば(結構無理がある言い訳*2です)認定される可能性があるので、色々試してみて下さい。

化学

低学年の化学でも良いので集められるだけ集めるのと、量子力学か前期量子論をやっていればこれも認定に使えます。また、熱力学の内容も必要になりますが、化学はなぜか低学年の物理が使えてしまう(化学の先生が制度を理解していない可能性がある)ので、書いておくと良いかもしれません。化学は認定担当の先生との粘り強い戦いが大事なので、諦めずに頑張って下さい。


専門科目

大学の科目名 高専の科目名 備考 認定
応用数学A 応用数学
通信工学Ⅰ
応用数学B 偏微分方程式をやっていない
基礎演習A 応用数学
通信工学Ⅰ
電磁気学
電磁気学
基礎電気工学
電気回路Ⅰ
電気回路Ⅱ
基礎演習B 応用数学Bが否なので自動的に否になる
基礎電気回路 基礎電気工学
電気回路Ⅰ
電気回路Ⅱ
回路システム学第一 応用数学
電気回路Ⅱ
電気回路Ⅲ
基礎電磁気学 電磁気学
電磁気学
電磁気学
数値解析およびプログラミング演習 高専の授業の時間数が足りない
アルゴリズムとデータ構造およびプログラミング演習 アルゴリズムとデータ構造
離散数学 情報数学
複素関数 応用数学
電磁気学第一 電磁気学
電磁気学
電磁気学
基礎電子工学 半導体工学Ⅰ
半導体工学Ⅱ
論理回路 ディジタル回路Ⅰ
ディジタル回路Ⅱ
申請すらしていない専門科目

Ⅱ類の人は1年生の授業で「力学」と「確率統計」という科目を取らなければならないのですが、そもそも高専で2つに対応出来るような科目を取っていなかったので、申請すらしませんでした。

専門科目の認定

専門科目の認定は、Ⅱ類の場合は所属しているプログラムによって担当の先生が変わります。僕の場合、今年の情報通信と電子情報の認定を担当した先生がとても厳しくチェックしてきたので、応用数学Bや基礎演習Bなどの科目は認定することができませんでした。特に基礎演習Bは、回路システム学第一と基礎演習Bの演習で回路システム学第一が認定できていても応用数学Bが認定できていなければ認定不可になってしまうので、とても厳しいです。このように、専門科目の認定は類やプログラムによってはとても理不尽なことになってしまう可能性があるので、面談の際は頑張って先生と交渉してみてください。


まとめ

色々書きましたが、基本的に認定の優先順位は低学年の科目を優先して認定して下さい。というのも、低学年の科目は「卒業研究着手審査基準」という4年で卒研を開始するための要件に入っていることが多く、これを落としてしまうと即留年が確定としたことと同じことになってしまいます。3年の必修科目は落としても卒研が出来る科目があるところもあるので、留年しないように上手く認定の計画を立てるようにして下さい。
また、この記事を見てくれた方なら分かると思いますが、本当に電通大の単位認定は大変ですしなかなか単位は認定されません。単位認定で失敗してしまうと、時間割が大変なことになってしまいます。実際に、電通大での生活は高専の時に比べて、課題が多かったり、レポートが大変だったりと兎にも角にも忙しい日々でした。ただでさえ忙しい状態をさらに悪化させないためにも、4月の単位認定は全力で単位を取りに行って下さい。

また、この記事を読んでみて分からないことや質問などがあったら僕のtwitter(@differentiatedd)のDMなどに連絡をください。

*1:豊橋や長岡の技科大は自動的に単位が貰えるシステムらしい

*2:実際は面談で「情報と熱って凄く深い所で繋がっていますよね??」みたいな事を言いました

【過去問解答】H31信州大学編入試験問題 数学 大問4

他の問題へのリンク
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問題

大問4は対角化に関する問題です.

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解答

解答の方針

この問題を解答するためには固有値固有ベクトルと対角化に関する2つの基本的な定理を知っていなければなりません.ここでは,この2つの定理と簡単な証明を載せておきます.

定理1

n 次正方行列 An 個の線形独立な固有ベクトルを持つならば,A は必ず対角化できる.

定理1の説明

そもそも,対角化可能性は対角化行列 P逆行列 P^{-1} の存在(P が正則であるということ)で決まります.P の構成する列ベクトルが線形独立であれば,P は正則になるので P^{-1} が存在することになります.

定理2

固有値の異なる固有ベクトルは,互いに線形独立である.

n=2 のときの証明

この定理の一般的な証明は計算が少し煩雑になるので n=2 のときの証明*1を示します.
\lambda_1, \, \lambda_2 を2次正方行列 A固有値とし,その各々の固有値に対する固有ベクトル \boldsymbol{x_1}, \, \boldsymbol{x_2} とします.すなわち,
A\, \boldsymbol{x_1}=\lambda_1 \boldsymbol{x_1}\tag{1}
A\, \boldsymbol{x_2}=\lambda_2 \boldsymbol{x_2}\tag{2}
が成立するとするということです.この状態で固有値が異なるとき,固有ベクトルが線形独立になるということを示すには  \lambda_1 \neq \lambda_2 のとき,

k_1 \, \boldsymbol{x_1}+k_2 \, \boldsymbol{x_2} = \boldsymbol{0} \tag{3}
となるのが,k_1=k_2=0 のときのみ*2ということを示せばよいということです.

ここで,(3)の両辺に A を左からかけると,

k_1 \lambda_1\boldsymbol{x_1} + k_2\lambda_2 \boldsymbol{x_2} = \boldsymbol{0} \tag{4}

となります.ここで(1)と(2)を用いたことに注意して下さい.(3)と(4)をまとめると,

 \begin{pmatrix} k_1  \boldsymbol{x_1} & k_2 \boldsymbol{x_2} \end{pmatrix} \, \begin{pmatrix}1 & \lambda_1 \\ 1 & \lambda_2 \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} \boldsymbol{0} &  \boldsymbol{0} \end{pmatrix} \tag{5}

となります.また,

{}^tV = \begin{pmatrix}1 & \lambda_1 \\ 1 & \lambda_2 \end{pmatrix}

O= \begin{pmatrix} \boldsymbol{0} &  \boldsymbol{0} \end{pmatrix}

とおくと(5)は,

 \begin{pmatrix} k_1  \boldsymbol{x_1} & k_1 \boldsymbol{x_1} \end{pmatrix} \,  {}^tV =O \tag{6}

となり行列 V は,ヴァンデルモンド行列という行列になります.また,この行列の行列式 |V|=|{}^tV|=\lambda_2-\lambda_1 \neq 0 となるので, {}^tV^{-1} が存在します.よってこれを(6)の右からかけると,

 \begin{pmatrix} k_1  \boldsymbol{x_1} & k_2 \boldsymbol{x_2} \end{pmatrix} = O

となり,

k_1  \boldsymbol{x_1}=\boldsymbol{0}
k_2  \boldsymbol{x_2}=\boldsymbol{0}

となります.また,固有ベクトルの定義より零ベクトルは固有ベクトルにはならないため

 k_1=k_2=0

となります.

解答と解説

(1)

固有方程式  |A-\lambda E| = 0 より
\begin{eqnarray} \begin{vmatrix}1-\lambda & 1 & 0 \\ 0 & p+2-\lambda & p \\ 0 & p & p+2-\lambda\end{vmatrix} &= & (1-\lambda)\begin{vmatrix}p+2-\lambda & p \\ p & p+2-\lambda \end{vmatrix} \\ \\
&=& (1-\lambda) \begin{vmatrix} 2-\lambda & -(2-\lambda) \\ p & p+2 \end{vmatrix} \\ \\
&=& (1-\lambda)(2-\lambda) \begin{vmatrix}1 & -1 \\ p & p+2-\lambda \end{vmatrix} \\ \\
&=& (1-\lambda)(2-\lambda)(2p+2-\lambda) \end{eqnarray}

\therefore \lambda = 1, \, 2, \, 2(p+1)


(2)

行列 A が対角化不可能であるとき,定理2より A固有値として少なくとも1つの重解を持たなければなりません.今回場合は p の取る値によって2通りの重解があり得るので場合分けによって調べていきます.


(ⅰ)p=-\dfrac{1}{2} のとき すなわち A の固有方程式が重解1をもつとき

固有値1に対する固有ベクトル \boldsymbol{x_1} は連立一次方程式

 (A-E)\, \boldsymbol{x_1} = \boldsymbol{0}

を解けばよく,係数行列を行基本変形すると

(A-E) \to \begin{pmatrix}1 & 0 & 1 \\ 0 & 1 & -1 \\ 0 & 0 & 0\end{pmatrix}

行列を方程式に戻すと,

\begin{eqnarray} 
  \left\{ 
    \begin{array}{l} 
      x + z = 0 \\
      y  - z= 0
    \end{array} 
  \right. 
\end{eqnarray}

z=s(任意実数)とおくと,

\boldsymbol{x_1}=s\begin{pmatrix}-1\\1\\1\end{pmatrix}

この場合,A は線形独立な固有ベクトルを2つしか持たないため,対角化不可能です.


(ⅱ)p=0 のとき すなわち A の固有方程式が重解2をもつとき

固有値2に対する固有ベクトル \boldsymbol{x_2} は連立一次方程式

 (A-2E)\, \boldsymbol{x_2} = \boldsymbol{0}

を解けばよく,係数行列を行基本変形すると

(A-2E) \to \begin{pmatrix}1 & -1 & 0 \\ 0 & 0 & 0 \\ 0 & 0 & 0\end{pmatrix}

行列を方程式に戻すと,

x-y=0

y=t_1, \, z=t_2(任意実数)とおくと,

\boldsymbol{x_2}=t_1\begin{pmatrix}1\\1\\0\end{pmatrix}+t_2\begin{pmatrix}0\\0\\1\end{pmatrix}

この場合,A は線形独立な固有ベクトルを3つ持つため,対角化可能です.


以上(ⅰ)(ⅱ)より,対角化できないような p の値は

p=-\dfrac{1}{2}

のみになります.

*1:一般的な証明は を参考にして下さい

*2:線形独立の定義を参照