ヨッシーの日記

いろいろかきます

【過去問解答】H31信州大学編入試験問題 数学 大問3

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問題

大問3は連立一次方程式に関する問題です.

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解答

解答の方針

連立一次方程式に関するとても基本的な問題です.ここで,行列の階数と連立一次方程式の解の分類について復習しておきます.

\displaystyle A=\begin{pmatrix}a_{11}&\cdots&a_{1n}\\\ \vdots&\ddots&\vdots\\\ a_{m1}&\cdots&a_{mn}\end{pmatrix}, \hspace{10pt} \boldsymbol{x}=\begin{pmatrix}x_1\\ \vdots \\ x_n \end{pmatrix}, \hspace{10pt} \boldsymbol{b}=\begin{pmatrix}b_1\\ \vdots \\ b_m \end{pmatrix}


とする.連立一次方程式 A\boldsymbol{x}=\boldsymbol{b} の拡大係数行列を A_+=(A\,|\, \boldsymbol{b}) とするとき,次のことが成り立つ.

  1. \text{rank}A=\text{rank}A_+=n \Longleftrightarrow A\boldsymbol{x}=\boldsymbol{b} がただ一つの解をもつ
  2. \text{rank}A=\text{rank}A_+\lt n \Longleftrightarrow A\boldsymbol{x}=\boldsymbol{b} が無数の解をもつ
  3. \text{rank}A\lt \text{rank}A_+ \Longleftrightarrow A\boldsymbol{x}=\boldsymbol{b} が解をもたない
このことが理解できればあとは簡単です.

解答と解説

与えられた連立一次方程式の係数行列を  A とし,拡大係数行列を A_+ とします.まず,拡大係数行列が階段行列になるまで行基本変形します.

\begin{eqnarray} A_+ &=& \left(\begin{array}{ccc|c} 1 & -1 & 1 & -1 \\ 2 & -1 & 2 & -1 \\ 1 & -1 & k^2 & k \end{array}\right) \\ \\
& \to & \left( \begin{array}{ccc|c} 1 & 0 & 1 & 0 \\ 0 & 1 & 0 & 1\\ 0 & 0 & k^2-1 & k+1\end{array} \right) \end{eqnarray}


(1)

連立一次方程式が解をもたないとき  \text{rank}A \lt \text{rank}A_+ となり,これを満たすのは  k=1 のみなので,答えは  k=1 となります.


(2)

連立一次方程式が無数の解をもつとき  \text{rank}A = \text{rank}A_+ \lt 3 となり,これを満たすのは  k=-1 のみなので,答えは  k=-1 となります.


(3)

連立一次方程式がただ1つの解をもつとき  \text{rank}A = \text{rank}A_+ = 3 となり*1これを満たす条件は  k^2 -1 \neq 0 になります.このとき,

 \begin{eqnarray} A_+ & \to & \left(\begin{array}{ccc|c} 1 & 0 & 1 & 0 \\ 0 & 1 & 0 & 1\\ 0 & 0 & 1 & \dfrac{1}{k-1} \end{array}\right) \\ \\
& \to & \left( \begin{array}{ccc|c} 1 & 0 & 0 & \dfrac{1}{1-k} \\ 0 & 1 & 0 & 1\\ 0 & 0 & 1 & \dfrac{1}{k-1}\end{array} \right) \end{eqnarray}


となり,解は

\begin{eqnarray} 
  \left\{ 
    \begin{array}{l} 
      x = \dfrac{1}{1-k} \\ 
      y = 1 \\
      z = \dfrac{1}{k-1}
    \end{array} 
  \right. 
\end{eqnarray}

となります.

*1:言い換えると A が正則ということと同じ

【過去問解答】H31信州大学編入試験問題 数学 大問2

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問題

大問2は2重積分に関する問題です.
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解答

解答の方針

この問題は小問(1)で普通の不定積分を求めさせてから,小問(2)でそれを利用して二重積分を解くという問題です.このような出題の仕方は信州大だとよくされます.この問題自体は難しくはないので,計算ミスをしないように解くことが大切になります.

解答と解説

(1)

暗算でも解けますが,慎重に置換積分しておきます.まず t=x^2 と置くと, dt=2xdx より,\displaystyle xdx=\frac{1}{2} dt になるから,

 \displaystyle \begin{eqnarray} \int x^3 e^{x^2}dx &=& \int x^2 e^{x^2}xdx \\ \\
&=& \int te^t \frac{1}{2}dt \\ \\
&=& \frac{1}{2} \left( te^t - \int e^t dt \right) \\ \\
&=& \frac{1}{2} \left(te^t - e^t \right) + C \\ \\
&=& \frac{1}{2} \left(x^2e^{x^2} - e^{x^2} \right) + C
\end{eqnarray}

となります.


(2)

まず,以下のように変数変換をします.

 \begin{eqnarray}
  \left\{
    \begin{array}{l}
      u = x + y \\
      v = x - 2y
    \end{array}
  \right.
\end{eqnarray}

この式を,xy について解くと,

 \begin{eqnarray}
  \left\{
    \begin{array}{l}
     \displaystyle x = \frac{2}{3}u + \frac{1}{3}v \\ 
     \displaystyle y = \frac{1}{3}u-\frac{1}{3}v
    \end{array}
  \right.
\end{eqnarray}

となるから,この変数変換によるヤコビアン J は,

\displaystyle J=\begin{vmatrix} \dfrac{\partial x}{\partial u} & \dfrac{\partial x}{\partial v} \\ \dfrac{\partial y}{\partial u} & \dfrac{\partial y}{\partial v} \end{vmatrix} = \begin{vmatrix} \dfrac{2}{3} & \dfrac{1}{3} \\ \dfrac{1}{3} & -\dfrac{1}{3} \end{vmatrix}=-\dfrac{1}{3}

となり,計算に使うヤコビアンの絶対値は  |J|=\dfrac{1}{3} になります.

また,先程の変数変換によって領域  D は下式で表される  D' に移ります.

D'=\{(u, \,v) \, | \, 0 \leq u \leq v \leq 1\}

領域の条件部にある  0\leq u \leq v \leq 1 は,  0 \leq u \leq 1 と,  0 \leq v \leq 1 と,  u \leq v という3つの条件式に分けることが出来るので,これを見ながら領域を作図すると,

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となるので,これを見ながら領域  D' を逐次積分しやすい形に変形すると,

D'=\{(u, \,v) \, | \, 0 \leq u \leq v, \, 0 \leq v \leq 1\}

となり,ようやく準備が整いました.これで後は積分計算をするだけですが,途中で小問(1)の結果を使うことに注意して下さい.

\begin{eqnarray} \iint_D (x+y)^2e^{(x-2y)^2} \, dxdy &=& \iint_{D'} u^2 e^{v^2} \frac{1}{3} \, dudv \\ \\
&=& \frac{1}{3}\int_0^1 e^{v^2} \, \int_0^v u^2 \, du dv \\ \\
&=& \frac{1}{3} \int_0^1 v^3 e^{v^2} \, dv \\ \\
&=& \frac{1}{18}\left[ v^2e^{v^2} - e^{v^2} \right]_0^1 \\ \\
&=& \frac{1}{18}(e-e+1) \\ \\
&=& \frac{1}{18}
\end{eqnarray}


【過去問解答】H31信州大学編入試験問題 数学 大問1

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問題

大問1は1変数関数の微分積分に関する問題です.

大問1の問題文

解答

解答の方針

まず,(ⅱ)にあるような微分積分が混じった方程式が出てきたときは基本的に両辺を微分して積分を消すようにします.本問題では,積分に関数(ここでは-2x)が掛かった形になっているので積の微分でバラバラにした後に,元々の式と連立して積分を消去して,2階の線形微分方程式に帰着させます.

この問題を解く為には「微分積分学の基本定理」という重要な定理をちゃんと理解している必要があります.微分積分学の基本定理とは

関数 f(x) において

\displaystyle \frac{d}{dx}\int_{a}^{x}f(t)\, dt=f(x)

が成立する.ただし,a は定数とする.

という定理です.この定理は一見すると微分積分が混じっていて複雑そうに見えますが,微分積分では一番大事である「微分積分の逆の演算である」ということを主張している定理です.

解答と解説

(1)

まず,(ⅱ)の式の両辺を x について微分しますが,その際に先ほどの微分積分学の基本定理を用いることに注意します.


\displaystyle -f'(x)+(1+x)f''(x)=-1-2\int^x_1 \frac{f(t)}{t^3} dt -2x\frac{f(x)}{x^3}-\frac{f'(x)x-f(x)}{x^2}

次に,上の式が分数になっていて面倒なので,両辺に x^2 をかけて分母を払います.


 \displaystyle -2x^2 f'(x)+x^2(1-x)f''(x)=-x^2-2x^2\int^x_1 \frac{f(t)}{t^3} dt -f(x)-xf'(x) \tag{1}

(1)は積分項である \displaystyle -2x^2\int^x_1 \frac{f(t)}{t^3} dt を含むので,このままでは解けません.そこで,元々の式を整理して無理やりこの形を作ります.その結果が下式の


\displaystyle -2x^2\int^x_1 \frac{f(t)}{t^3} dt = x(1-x)f'(x)-x+x^2+f(x)

です.これを(1)に代入すると,

\displaystyle x^2(1-x)f''(x)=-x

のように綺麗になるので答えは,

\displaystyle f''(x)=\frac{1}{x(x-1)}

となります.

(2)

小問(1)で微分方程式が導けたので,後は微分方程式を解いて一般解を求めた後に,(ⅰ)の境界条件を代入すれば解が定まります.まず,先程の式の右辺を部分分数分解*1すると


\displaystyle f''(x)=\frac{1}{x-1}-\frac{1}{x}

となります.これで積分が実行出来る形になったので,任意定数を C として積分すると,


\displaystyle f'(x)=\log{|x-1|}-\log{|x|}+C

問題文より, 0\lt x\lt 1 なので対数の絶対値記号は外せて,


\displaystyle f'(x)=\log{(1-x)}-\log{x}+C

のように書けます.よって一般解は新たに出てくる任意定数を D として,


 f(x)=-(1-x)\log{(1-x)} + x -x\log{x} +x +Cx+D

境界条件を代入すると,C=-2D=0 が求まるので答えは,


 f(x)=-(1-x)\log{(1-x)}-x\log{x}

となります.

*1:このレベルの部分分数分解は暗算で出来るようにするとよい

【線形代数】線形写像の像の基底

今回は,線形写像の像の基底を求める際に,出来るだけ基底ベクトルの数字を出来るだけ簡単なものにする方法を紹介したいと思います.この知識は線形代数の本質とは少し離れますが,編入受験テクニックとして知っておくと,とても便利な知識なのでここで紹介したいと思います.

線形写像の像と基底の求め方(よく使う方法)

線形写像の像の定義

まず像の定義から

線形写像  f:V\to W の像 \text{Im}fとは

 \text{Im}f=\{\, f(\boldsymbol{x})\in W \, | \, \boldsymbol{x} \in V \, \}

で表されるWの部分空間である.

簡単に像の意味を言うのであれば,「線形写像によって移されるベクトルをすべて集めてきた空間」です.今回はこのような像のイメージや意味は置いておいて単純に像の基底を求めることだけに焦点を当てます.

基底の求め方

例題を使って復習しましょう.

線形写像  f: \mathbb{R}^3 \to\mathbb{R}^2

 f(\boldsymbol{x})=A\boldsymbol{x}=\begin{pmatrix}1 & 1 & -1 \\ 2 & 1 & 1 \end{pmatrix} \, \begin{pmatrix}x_1 \\ x_2 \\ x_3 \end{pmatrix}

で定める.このとき,\text{Im}f の基底を求めよ.

まず,(標準基底に関する*1)表現行列の階数が像の次元になることを利用して,次元を先に求めます.つまり,行列を行基本変形します.

 \begin{pmatrix}1 & 1 & -1 \\ 2 & 1 & 1 \end{pmatrix} \to \begin{pmatrix}1 & 0 & 2 \\ 0 & 1 & -3 \end{pmatrix}
よって,
\text{dim}\,\text{Im}f = \text{rank}A = 2

より像の次元が2だと分かります.

次に像の定義から基底を求めます.

 
\begin{eqnarray}\text{Im}f &=& \left\{ \begin{pmatrix}1 & 1 & -1 \\ 2 & 1 & 1 \end{pmatrix} \, \begin{pmatrix}x_1 \\ x_2 \\ x_3 \end{pmatrix} \, \middle| \, \begin{pmatrix}x_1 \\ x_2 \\ x_3 \end{pmatrix} \in \mathbb{R}^3\right\} \\ \\
&=& \left\{ x_1 \begin{pmatrix}1 \\ 2 \end{pmatrix} + x_2 \begin{pmatrix}1 \\ 1 \end{pmatrix} + x_3 \begin{pmatrix}-1 \\ 1 \end{pmatrix}  \, \middle| \,  x_1 , x_2 , x_3  \in \mathbb{R} \right\}
\end{eqnarray}

ここで,基底みたいなものが3つ出てきた訳ですが,先程も述べた通り像の次元は2なので基底が1つ不要です.このような場合は,残ったベクトルが線形独立になるようにベクトルを1つ削除すればOKです.つまり

 
\begin{eqnarray}\text{Im}f = \left\{ x_1 \begin{pmatrix}1 \\ 2 \end{pmatrix} + x_2 \begin{pmatrix}1 \\ 1 \end{pmatrix}  \, \middle| \, x_1 , x_2  \in \mathbb{R} \right\}
\end{eqnarray}

のようにします.そして残ったベクトルを像の基底として良い訳ですが,こうして出来たベクトルは表現行列の成分をそのまま持ってきたので,問題によっては数が大きな場合もあります.「像の基底を求めよ」という問題なら別にこのままで良いのですが,この後に求めた基底を使って問題を解くみたいな問題では厄介です.実際,電通大編入試験ではよくこのような問題が出題されます.

像の基底を表現行列から直接求める

先程述べたような問題が出題された場合は表現行列を基本変形して像の基底を求めると良いです.先程扱った例題の場合は,

 \begin{pmatrix}1 & 1 & -1 \\ 2 & 1 & 1 \end{pmatrix} \to \begin{pmatrix}1 & 0 & 0 \\ 0 & 1 & 0 \end{pmatrix}

というようになり,残った列ベクトル \begin{pmatrix}1 \\ 0 \end{pmatrix}\begin{pmatrix}0 \\ 1 \end{pmatrix} が像の基底ということです.ここでは,像の基底が \mathbb{R}^2 の標準基底になったので  \text{Im}f = \mathbb{R}^2 だったということが分かりますが,そもそも \mathbb{R}^2 の部分空間で次元が2のものは  \mathbb{R}^2 しかないのでこの結果は自明だったりします.

おそらくここまで読んだ人の中には,「列基本変形とか得体の知れないものを使って勝手に像の基底を求めても大丈夫なの?」と思う人がいるかもしれないので,この方法で像の基底を求めても大丈夫であることを説明しておきます.
これは,よく考えれば分かることなのですが,列基本変形という操作は「全ての列ベクトルの線形結合で新しい列ベクトルを作る」という操作になります*2
いま,一般に線形写像 f:V\to W の表現行列  A


A=\begin{pmatrix}\boldsymbol{a_1}&\cdots&\boldsymbol{a_n}\end{pmatrix}

で表されてるとします.この  A を列基本変形するということは,


\boldsymbol{b_1}=k_{11} \boldsymbol{a_1} + \cdots + k_{n1} \boldsymbol{a_n}
 \vdots
\boldsymbol{b_n}=k_{1n} \boldsymbol{a_n} + \cdots + k_{nn} \boldsymbol{a_n}

というような計算をして新たな基底  \{ \boldsymbol{b_1}, \cdots , \boldsymbol{b_n}\} を構成したに過ぎないということです.表現行列の列ベクトルは絶対  \text{Im}f に入っている*3ので, \text{Im}f に入っているベクトルの線形結合で作ったベクトルが \text{Im}f のベクトルになることは頷けると思います.
このように,像の基底を求める際には,線形写像の表現行列がわかっている場合,その行列を列基本変形すると成分の数がコンパクトになった基底を見つけることが出来ます.皆さんも是非使えるようになって下さい.

*1:本記事では,表現行列は全て標準基底に関する表現行列を指すこととする

*2:正則行列を掛けるという言い方をする場合もある

*3:標準基底の移り先であるから

【線形代数】サラスの方法を使わない固有方程式の解放について

今回は、数学の編入試験の勉強をしている方なら誰もが対策する「固有値固有ベクトル」の範囲についての編入TIPSです。正直、今回の題材となっている固有方程式の解法(固有多項式因数分解)ですが、人によってやりやすい方法が異なるのでこの方法が絶対良いという事はないですが、知っておいて損はないので是非とも読んでみて下さい。

固有多項式因数分解

2つの解法

固有多項式因数分解する方法は大きく2つあり、

(1)行列式をサラスの方法で展開し、因数定理と組立除法で因数分解する方法
(2)行列式の性質を使って行列式の次数を落としながら因数を見つける方法

があります。多くの方は(1)の方法を使っていると思いますが、今回は(2)の方法を紹介したいと思います。
そもそも、(1)の解法ではサラスの方法で大変な計算をして展開をした後に更に因数分解をしなければならなく二度手間ですし、それぞれの成分の絶対値の大きな行列を扱うときにサラスの方法を使うと、とても計算ミスを引き起こす可能性が高いです。これから説明する(2)は、サラスの方法を用いないので(1)ほど計算ミスを引き起こす可能性は低いと思います。(といっても2番も大変な計算をしますが)

例題

このような問題は具体的な問題を使って説明するのが一番だと思うので、例題を用意しました。

A=\begin{pmatrix}1 & 0 & -1 \\ 1 & 2 & 1 \\ 2 & 2 & 3\end{pmatrix} の固有値をすべて求めよ.

この解法では、基本的に固有多項式  \left |\lambda E - A \right| の次数を下げる過程で同じ行または列に共通因数が出てくるタイミングがあるときに、行列式から括り出して行列式の中身が2次式になるようにします。
 \begin{align} \left |\lambda E - A \right| &= \begin{vmatrix}\lambda - 1 & 0 & 1 \\ -1 & \lambda - 2 & -1 \\ -2 & -2 & \lambda - 3\end{vmatrix} \\ \\
&=\begin{vmatrix}0 & 0 & 1 \\ -1 + (\lambda - 1) & \lambda - 2 & -1 \\ -2 - (\lambda - 3)(\lambda - 1) & -2 & \lambda - 3\end{vmatrix} \\ \\
&=\begin{vmatrix}\lambda - 2 & \lambda - 2 \\ -({\lambda}^2 -4\lambda +5) & -2 \end{vmatrix} \\ \\
&=(\lambda-2)\begin{vmatrix}1 & 1 \\ -({\lambda}^2 -4\lambda +5) & -2 \end{vmatrix} \\ \\
&=(\lambda-2)(-2+{\lambda}^2 -4\lambda +5) \\ \\
&=(\lambda-2)({\lambda}^2 -4\lambda +3) \\ \\
&=(\lambda-1)(\lambda-2)(\lambda-3) \\ \\ \end{align}
\therefore \lambda = 1, 2,3 固有値

では次に、各行でどのような式変形を行ったか解説します。

【1行目〜2行目】
1列目から3列目の (\lambda - 1) 倍を引きました。今回は与えられた行列の1行2列成分が0だったので列に関する変形をしましたが、基本的には行変形をします。

【2行目〜3行目】
1行目について余因子展開をしました。余因子展開が使いこなせればいちいち1列目が1,0,0になるように行と列の交換をしなくて済みます。

【3行目〜4行目】
1行目の共通因数 (\lambda-2) を括り出しました。

【4行目〜5行目】
残った2×2の行列式を展開しました。


このように、行列式の性質を使って行列式を変形していけば、わざわざサラスの方法で展開してから因数定理と組立除法で因数分解する必要はありません。この方法が気に入られた方は、是非この方法で固有多項式因数分解してみて下さい。