ヨッシーの日記

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【編入体験記】H31電気通信大学 推薦

平成31年度入学の電気通信大学特別編入学推薦試験に合格*1しましたので、主に僕が受けた試験の概要について報告したいと思います。

基本情報

電気通信大学の推薦は3,4年の席次の平均が全体の20%以上であれば出願することが出来ます。また、出願時には希望する類と教育プログラムを1つ選択しなければなりません。学力のように複数のプログラムは書けません。
推薦試験は基本的に、面接試験、数学の口頭試問、専門科目の口頭試問(Ⅰ類ならば情報)で構成され、推薦書、調査書、面接試験(口頭試問も含む)で合否が決まります。
ちなみに僕が志望したのはⅡ類の情報通信工学プログラムで、高専時代の席次は
1年・・・10位くらい
2年・・・1位
3年・・・1位
4年・・・1位
でした。電通大に提出するのは3,4年の席次なのでそれ以外は評価されません。また調査書には高専の1年から4年の成績と5年の履修状況を記入される(自分の高専の書式を貼り付ければ OKらしい)ので、面接で成績について聞かれることがあるそうです。(H30 年のI類推薦の話)

志望動機

そもそも僕が編入をしようと最初に思ったのは3年の後半辺りになりますが、この頃は特にただ大学に行きたいなと思っていただけで「とりあえず、名前がある千葉大に行きたいな」と思っていまいた。しかも、この頃は自分が将来何になって何をやりたいのかという事も全く考えていない状態でもありました。
電通大を受けようと思ったのは4年の担任との面談のときに「千葉大よりも電通大がいいんじゃない」と言って頂いた事がきっかけで、電通大について詳しく調べてみると、自分のやりたい分野(この時は数理情報のような分野になりますが)が出来そうという事が分かり、この辺りで志望校を電通大にしました。

電通大は他の大学よりも工学全体の分野をカバー(名前は電気通信だけど機械や物理や化学もやってる)しているのが特徴で、特に電気電子情報分野は教育プログラムが更に細分化されているので、電通大の中でも多岐に渡った研究がされています。他の総合大学では情報系の分野があまり細分化されていなような所もありますが、電通大は本当に色々な分野が勉強出来るので僕にとてもマッチしていたと言えます。ただし、単科大のデメリットもあります。

電通大を目指したきっかけは数理情報の分野がやりたいという事だったのですが、更に電通大について調べていくうちに、具体的に数理情報の何がやりたいのかという事についてあまり定まらなくなってしまう状態になってしまいました。その後、4年の後半辺りに電通大で量子情報という分野について研究している先生の記事を見つけ、その記事から量子情報に対して興味を持ち始めました。5年の4月にはその先生の研究室に訪問させて頂く機会を頂き、そこでの先生のお話から量子情報に対する興味が一層高まり、編入に対するモチベーションも高くなったと思います。

受験勉強について

推薦でも本気で受験勉強した

電通大の推薦は結構落ちるというのが結構有名で、僕の高専の先生も「電通大の推薦はオマケ程度に思ったほうが良い」という先生がいたくらいでした。しかも、僕が通っていた高専は全国の高専の中でも結構底辺のレベルだったのでいくらそこで1位を取っていたとしても全国的なレベルはいまいち測れないというものがありました。
結局、その先生のアドバイスにより「推薦は受けるけど落ちる前提で本命は学力」作戦で僕の受験勉強はスタートしました。

勉強について

詳しい勉強内容は別の記事で書きたいと思うのですが、基本的には電通大の学力を受ける為の受験勉強をしています。おおまかな勉強内容は
【数学】
微分積分(参考書、過去問)、線形代数(過去問を重点的に)、関数論(授業の復習、過去問)
【物理】
力学(初等力学全般)、電磁気学(電磁波除く)、熱力学(第1法則〜エントロピー辺り)
【英語】
文法(結構重点的に)、単語・長文(単語帳、参考書)、英作文(参考書、過去問)

となります*2。見て頂ければ分かる通り、物理の波動と現代物理学の分野は捨ててます。理由は色々あるのですが、一番大きいのはH23年を最後に波動と現代物理学の出題が無いということです。特に波動に関しては高専でまともな授業を受けてこなかったのでさっさと切り捨ててしまいました。もし、高専時代で波動の授業を受けていて独学することにあまり抵抗が無いのであれば、旧帝大の滑り止めで電通大を受ける人達は波動の対策を勿論しているので、波動だけは勉強しておいた方が良いかも知れません。
平成31年度の学力で波動の問題が出題されたそうです。万遍なく勉強しろということでしょう。(追記)

推薦の試験内容

先程も書きましたが、電気通信大学Ⅱ類の推薦試験は
・面接
・数学の口頭試問
・専門の口頭試問
の3つがあり、当日は受験番号によって決められた班で分けられ、班によって決められた順番で面接室の巡回します。僕はA班に割り振られ、順番は面接→数学→専門の順に回りました。各部屋の制限時間は10分です。

面接

電通大の面接官の先生方は基本的に優しい方が多く、面接試験も和やかでとても話しやすい雰囲気でした。対策としては、編入の面接で一般的に聞かれるような質問の準備をしておけば大丈夫だと思います。面接官の先生は3人でした。

  • 高専でやっている研究と電通大に入ってやりたい研究は?

卒研内容と志望動機で言おうと考えていたものを研究室訪問をしたエピソードなどを踏まえて、組み合わせて話ました。結構長めに話しました。
→卒研内容に関しては何個か質問がありました

  • 量子情報を研究するためにはどんな勉強をすればいいと思う?
  • 量子情報を知ったきっかけは?
  • 将来はどうしたい?

研究者になりたいと答えた

  • 研究していくには英語が必要だけど、英語はどう?

TOEICの話をしたら「TOEICだけじゃないんだけどね〜(笑)」という話をされていました。

  • 勉学以外で頑張ったことは?

吹奏楽部に所属していたのでそのエピソードを

  • 楽器は何をやっていたの?

このような質問も普通に飛んで来るので嘘を言うのはなるべく避けましょう。

  • 最後に何かありますか?

正直何も考えて無かったが、「どのような研究室に配属しても取り組めるようにします」みたいな事を言いました。

数学の口頭試問

微分積分線形代数の問題があり、そこから 1 つ問題を選びます。僕は線形代数を選びました。(微分積分は見ていません)
面接官は3人で、計算が間違っていると教えてくれます。僕は削除された問題を除き全て答えられました。
問題自体は標準的な大学編入の筆記試験で出そうな問題で、レベル的には「編入数学過去問特訓」のA,B問が解ければ十分解けます。

(1)固有値の定義を説明せよ
固有値の定義式
A\boldsymbol{x}=λ \boldsymbol{x} (ただし \boldsymbol{x}≠\boldsymbol{0}
を説明すればOK

(2)A(4×4の正方行列 成分に文字aが含む)の行列式

(3)A固有値0を持つときのaを求めよ
固有方程式 \mathrm{det}(A-λE)=0 のλに0を代入すると、\mathrm{det}A=0 となるので(2)の結果が使える

(4)A固有値0に対する固有空間の基底を求めよ
面接官の方が「基底って知ってる?」とわざわざ聞いてくれました。

(5)→なぜか削除

基本的には各部屋10分だったのですが、数学だけは15分くらい待ってくれました(面接官によると問題が10分では解けないからだそう)

専門の口頭試問

情報、電気回路、電磁気、力学から問題を選択します。僕は元々電磁気を選ぼうとしていたのですが、電磁気であまり勉強していない円筒抵抗体の問題が出ていて焦りました。焦った結果なぜか血迷って力学を選択したのですが無事死亡しました。僕は(3)まで先生の誘導で解けたのですが、(3)を解いたところで先生に「本当にそれで合ってる?(合ってるんだけど理解してる??という意味)」と聞かれ僕が物理現象を理解出来てないことがバレました。先生は最後に「惜しかったですね 〜」って言って下さったのですが、壊滅的であることには変わりません。面接官の 先生は4人でした。

壁に固定されたばね定数kのばねとそれに繋がれた質量mの板で質量Mの球を発射する問題です。(下図参照)
f:id:yoshi12030:20180623164619p:plain
(1)ばねを自然長からx_{0}だけ縮めたときの弾性エネルギーを答えよ。
(2)手を離してばねが自然長からxの位置で速度がvになったとする。そのときの系全体のエネルギーを求めよ。
(3)球と板が離れた時の自然長からの位置を答えよ。
(4)そのときの速度v_{0}を求めよ。

今考えてみると簡単な問題なのですが、口頭試問になると解法が全く思い付かなくなります。推薦試験前に時間があるなら、専門科目をひと通り復習してどの分野でも出来るようにしておくのがオススメです。
また、この問題の解答例を公開したので下の記事も参考にして下さい。
yoshi12030.hatenablog.com

まとめ

ここまで色々と書きましたが、基本的には「席次」と「口頭試問」で決まると思います。口頭試問はいざ教授の前で問題を解くとなると問題が何を言ってるのか分からなくなったり、問題が分かっても簡単な問題なのに回答が思いつかなくなります。僕の自論ですが、これを切り抜けるには単純に勉強をするしかないと思ってます。(僕が専門解けなかったのは勉強不足を痛感してます)
電通大の推薦を受けようと思っている人は、推薦だからといって勉強を疎かにせずに、落ちても学力を受けようくらいの気持ちで勉強していくのが良いと思うので、是非とも勉強して下さい。

また、何か質問等あればTwitterの@differentiateddにDMを送って頂ければ、答えられる範囲でお答えします。

*1:Ⅱ類推薦の倍率は1.29倍でした

*2:試験範囲は電通大HPに書いてあるのでチェックして下さい